ダンタリアンの書架四話

 全3巻の本の、2巻までしか購入されていないと、ヒューイに腹を立てるダリアン。しかし、その本の作者は、3巻目を書き終える前に死亡してしまっていた。
 そのような本をヒューイが取り寄せたのには、理由があった。それは、死んだはずの作者であるレンツから手紙が届いたからであった。
 ヒューイとダリアンは、レンツの仕事場である別荘へ行く。そこには、死んだはずの妻を名乗り、血の滴る鉈を洗うポーラという女性と出会う。しかも、彼女は、死んだはずのレンツは、生きて、執筆中だという。
 その晩、ヒューイとダリアンは、ポーラが鉈をもって出てきた小屋に忍び込む。そこで2人が見たのは、死体となって横たわるレンツと、牢屋に閉じ込められたラティーシャという女性だった。ヒューイがラティーシャを助けようとすると、ラティーシャはそれを拒む。そして、ラティーシャは、翌日、ここにきて、レンツを連れて逃げるように、2人に頼む。死んだレンツを連れて逃げろというラティーシャの言葉に疑問を感じながらも、2人はラティーシャの要求通り、その場を離れる。
 翌日、2人が再びレンツの別荘を訪れると、死んだはずのレンツが生き返り、かわりにラティーシャが死んでいた。
 これは、原書の仕業だった。その原書は、死者を復活させる力のある原書だった。しかし、誰かを復活させるためには、他の誰かが死ななければならなかった。そして、蘇生した死者の肉体は、一昼夜しかもたない。そこで、レンツとラティーシャは、毎日、死と復活を繰り返していた。そして、2人を殺していたのが、ポーラだったのである。
 レンツとラティーシャは、愛し合っていた。そのことも相まって、2人は、復活しても、一人では逃げ出すことも出来ず、ポーラに言われるがままに、行動するしかなかったのだ。
 復活しても、その身体は自分だけのものではない。また、自分一人では生きていくこともできない。それで、復活した本人は、生きているということができるのだろうか。
 死者の復活。それは、生きている人間が、自分の悲しみを癒すための自分勝手な儀式なのではないだろうか。

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