シュタゲ

 鈴羽は、2036年から来た岡部か敬愛していたタイムトラベラー、ジョン・タイタ―だった。
鈴羽がいう2036年は、セルンに支配された管理社会。セルンに逆らう者はみな殺され、みなが自由を求めていた。そして、自由を求めて闘う、レジスタンスの一員だった鈴羽は、死んだような世界を変えるため、タイムマシーンで過去へ来た。
そもそもセルンは、研究機関であって、権力をもつ統治機関でない。そんなセルンが、権力をもつに至った理由は、タイムマシーンの開発に成功し、時間という4つめの次元に干渉できる唯一の存在となったことだった。強大な権力を握る唯一の存在となったことで、セルンは勢力を伸ばした。セルン以外の機関でタイムマシーンの開発に成功してしまえば、権力を独占することができなくなる。したがって、タイムマシーンを開発し、それを世間に公表しようとした岡部たちを誘拐または殺そうとしたのだろう。
人は、力を手に入ると変わってしまう。本来もっていなかったものであるにもかかわらず、手に入れると、あたかも自分がはじめからもっていたものであるかのように頑なにそれを無くすことを拒む。他人を排除してまでも。

 鈴羽は、岡部に、「初めてこの世界に来たとき、知ってる人は誰もいなくて、この世界の方がすごく平和なのに、なんだか、わたしにとってはすごく恐かった。今は、こうしてたくさんの仲間ができた。」という。どんなにつらい世界でも、自分を知っている人がいれば、そこに自分の場所がうまれ、そこは、一応の安全圏となる。しかし、世界がどれだけ平和でも、知人がいなければ、自分の居場所はなく、安全圏と呼べる場所も存在しない。したがって、鈴羽のように、恐いと思ってしまう。戦争が恐ろしいのは、身体的な外傷が生じることのほかに、精神的な安全圏が奪われる恐怖というものもあるのかもしれない。
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